新鋭短歌シリーズ、おかげさまで拙著『NR』だけでなく11作品さまざまなメディアで取り上げられています。特に11月30日に日本出版クラブ会館で開催された記念イベントは盛況で、熱く語られたこの三十年の歌集出版事情や「短歌をもっと遠くに届けるにはどうしたらよいか?」と投げ掛けられた問いなどが大きな波紋を呼んでいます。
さらに、この度第一シリーズに続き、第二期が今度は公募制で募集されることが発表されました。
http://www.shintanka.com/shin-ei/news/745今回のイベントや第二シリーズ募集開始のニュースを踏まえて、「私もいつか歌集を出したい」と思っている方に少しでも参考にしていただけるような情報をこのブログでお届けしたいと思います。
歌集作りをお手伝いしてくれる既存の出版社があるにもかかわらず、歌集のジャンルではほぼ新規参入である書肆侃侃房さんから第一歌集を出版しようと思った経緯を簡単にまとめます。
これまで自分の短歌のキャリア約10年の間「加藤治郎さんと歌集を出したい」とずっと思い続けてきました。プロデュースいただいた加藤治郎先生との出会いは『NR』あとがきに詳しく書いているので、ここでは割愛し、書肆侃侃房さんと田島安江社長との出会いについて書こうと思います。
加藤先生から新鋭短歌シリーズの企画に関して説明を受けた後、書肆侃侃房さんについて自分なりに調べたり先輩歌人に相談したり、また、改めてどんな歌集にしたいかを考えました。書肆侃侃房さんのHPを眺めているうちに、かつて読んだ『ゆりちかへ』(著・テレニン晃子)という本がこの出版社から出ていたことに気づきました。
http://www.kankanbou.com/kankan/item/1972008年夏、授かったお腹のなかの子どもが女の子だと判明した直後、書店で当時ハードカバーで売り出されていたこの本と出合いました。(現在文庫として出版されています)
『ゆりちかへ』は難病で余命わずかなお母さんが、娘さんのために書き残したノートやインタビューを基にしたドキュメンタリーです。「近い未来、生まれてくる子どもとどうやって向き合っていこうか」と想像を巡らせていたわたしの心に、著者の率直なメッセージはすとん、すとんと落ちていきました。そんな遠い記憶の読書体験をなぞりながらHPを眺めていると、『ゆりちかへ』出版その後を編集者・田島安江さんが綴った『もう一冊のゆりちかへ―テレニン晃子さんとの日々』という本の存在を知りました。
この本も素晴しい読書体験をもたらし、今『ゆりちかへ』とともに私の部屋の本棚にあります
田島安江さんは現在、書肆侃侃房の社長をつとめていらっしゃいます。歌人笹井宏之さんの歌集『てんとろり 笹井宏之第二歌集』(2011年)出版にあたり、情熱を注ぎ、奔走された方が田島社長であることを先生からかねて聞いていたので、「この方と本作りを一緒にしていきたい。」という思いが高まりました。先生に「よろしくお願いいたします。」とシリーズに参加する意向をメールをしたのが、2012年秋のことでした。
その後、田島安江社長から企画書とお手紙が届きました。また出版後には直接お目にかかれることが叶い、豊かなひとときを共有させていただきました。このひとときが私の人生観を一層深め、また名古屋市内書店で2013年秋に開催したネットプリント展などの短歌の活動に繋がっていくのですが、そのエピソードはまた後日書き記したいと思います。
素晴らしい本作りを行っている出版社はいくつかあると思いますので、「自分らしい歌集を作りたい」まずその思いを深堀りして、たくさん調べ、納得して最良のパートナーを見つけていただきたいと思います。
今度は読者として、新しい短歌の世界と出会えるのを楽しみにしています!
posted by てんどうなお at 12:31| 東京 ☀|
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